マラセチア菌は皮膚の常在菌で、脂質を栄養源としている菌です。
在14菌種が報告されているなかで、犬猫の皮膚病で問題になるのは Malassezia pachydermatis(マラセチアパチデルマティス) という種類です。
通常、マラセチアは脂質の少ないところではあまり適応できませんが、 この菌種は宿主域が広く、陸上哺乳類のほかに海洋生物からも検出されています。
マラセチア菌は常在菌の1つ
マラセチア菌はアクネ菌等と同様に、皮膚に住みついている常在菌の1つです。

マラセチア皮膚炎の原因のマラセチア菌とは?
アクネ菌と同じく皮脂分解酵素のリパーゼを分泌し、皮脂を遊離脂肪酸とグリセリンに分解、遊離脂肪酸が酸化されると毒性のある過酸化脂質に変化し、炎症へと発展するのです。
マラセチア菌には、
- マラセチア・ダーマティス
- マラセチア・シンポディアリス
- マラセチア・グロボーサ
- マラセチア・ファーファー
- マラセチア・レストリクタ
などの14種が存在します。
マラセチア菌の栄養源は脂質
マラセチア菌は、普段はおとなしく、皮脂腺から出る皮脂を食べて生息しています。
脂質や湿度のある場所をとても好み、その適した環境になるとどんどん増殖していきます。
特に、皮脂のたまりやすい、わきの下、内股、指の間、耳(耳介)、おなか、下あご、肛門の周りなどで増殖しやすいです。
健康な皮膚では問題となることはありませんが、何らかの理由で皮脂の分泌が増えすぎたり(脂漏)、アトピーや他の皮膚炎などで皮膚の抵抗力が落ちると異常増殖し、皮膚炎を起こします。
マラセチア菌は脂肪酸をつくる

犬の皮膚にマラセチア菌が増えると、炎症が起こる?
皮脂を栄養源として生きているマラセチアは、皮脂を分解した後に、脂肪酸を作り出します。
この脂肪酸は、通常は皮膚に炎症を起こすほどの量ではないのですが、マラセチア菌が増殖してしまうと、脂肪酸の量も増えることになります。
脂肪酸は、肌にとっては刺激物であるため、量が増えてしまうと、かゆみや炎症を引き起こしてしまうのです。
マラセチア菌が引き起こす皮膚疾患
- 脂漏性皮膚炎
頭皮や顔、胸や背中などの脂漏性皮膚炎は、マラセチア菌が原因で起こることがあります。
症状は、赤みやかゆみ、フケ、炎症などです。
- オトマイコシス
犬や猫などの動物の耳に起こる外耳炎の一種で、マラセチア菌が原因のものがあります。
症状は、耳のかゆみ、におい、炎症、耳垢の増加などです。
- マラセチア皮膚炎
人間や動物の体表面に起こる、マラセチア菌による皮膚炎です。
症状は、赤みやかゆみ、脱毛、発疹、湿疹などです。
まとめ
マラセチア菌は、犬の耳や皮膚のトラブルを引き起こす原因となる微生物です。
早期に症状を認識し、獣医師の指導に従って治療を行うことで、愛犬の健康を守ることができます。
定期的なケアや予防策の実施によって、マラセチア菌感染から愛犬を守りましょう。
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