歯周病の治療の重要性
犬の歯周病は進行すると、歯茎の炎症や歯のトラブルだけでなく、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。
歯周病は症状が出てきたら、早いうちに治療することが大切です。
犬の歯周病の治療は、まず獣医師の診断が必要です。
獣医師は口腔内の状態を詳しく調べて、病状の進行度を確認し、個別のケースに合わせた治療プランを立ててくれます。
歯周病の治療方法①:歯の表面の歯石除去=スケーリング
歯周病の治療を進めていく上で最も大切なことは、プラーク(歯垢)をしっかりと取ること!
犬の歯周病の治療は、麻酔をかけて定期的にスケーリングをすることから始まります。
スケーラーを使って歯石を取り、歯の表面をツルツルにして細菌がいない状態にします。
歯石の表面がザラザラしているとプラーク(歯垢)が付き易い上に、落ち難くなるのです。
ちなみに、歯石を取る器具をスケーラーと呼び、歯石を取ることをスケーリングというので覚えておきましょう。
スケーラーには超音波スケラーとか、キュレット型スケラー等があり
スケーラーを歯周病の病巣に一定の角度であてて歯石を取り除くんです。

スケーラー
犬の唾液は人間よりもアルカリ度が高く、歯石になりやすい傾向があります。
歯垢は数日で石灰化して歯石となり、ザラザラした表面に歯垢がくっついてまた歯石となり・・・と悪循環を繰り返し、
歯周病は悪化の一途をたどります。
歯垢は、一度取り除いても、6~8時間で再び付着し、歯石も3~5日で付着してしまうといわれています。
また、年齢とともに歯垢・歯石もたまりやすくなり、細菌感染への抵抗力も落ちていくことから、
歯周病は成犬病のひとつといえます。
歯周病の治療方法②:歯の奥の歯石除去=ルートプレーニング
ルートプレーニングとは、歯の奥深くの歯石や感染した歯質を専用の器具を使ってきれいにする治療のことを言います。
歯周病が進行すると歯周ポケットが深くなるため、スケーリングだけでは奥深くの歯石を取ることができません。
そのため、歯の奥深くの歯石をきれいに取る必要があります。
また、歯肉も炎症を起こしていますから、中をきれいに洗浄して、炎症を抑える抗生物質の軟膏を入れます。
そうすると歯根膜の再生も手伝って、ポケットになってた部分が少しずつくっついて歯肉が戻ってきます。
歯周病の治療方法③:薬物療法

愛犬の歯周病の治療方法
歯周病を起こしてしまったら、もう歯みがきなどの歯垢・歯石ケアだけでは治まりません。
歯肉内をしっかり治療しないことには再発を繰り返してしまうのです。
目に見える表面の歯垢・歯石を取るだけではなく、このポケットの中まできれいにすることが重要になります。
薬物療法は炎症のおきた歯肉内を洗浄し、そこへ抗生物質を投与します。
ですが、抗生物質を始めとする薬物療法は意外にもあまり効果を発揮せず、
やはり、歯垢・歯石の除去が歯周病のメインの治療になります。
歯周病の治療方法④:外科手術
初期の段階では歯垢や歯石の除去、薬物投与によって改善されますが、
症状が進んでしまったらやはり抜歯するしかありません。
抜歯をすれば歯周病は治ります。
ただ、ひとつ気をつけなければならないのは、歯を抜いたあとの穴の中が炎症を起こしているケース。
そうした穴の中の深部も一緒に削り落としてあげないと治らない。
なので棒の先が丸くなった器具を使って病巣を掻爬(そうは)します。
掻爬(そうは)とは…中身をかきだすこと
そうやって血餅(けっぺい:ゼリー状のかさぶた)ができるのを待ちます。
そして徹底的に洗浄して人工骨を埋める。これが治癒率がいいです。
このとき要注意なのは、アゴの中に複雑に入り込んでいる神経や血管やリンパの存在。
そこに貫通してしまうと大事故になってしまいます。
アメリカでは、歯科の専門医が組織誘導再生という方法を始めました。
これは大きなポケットがあるときに、歯肉上皮だけが先に上がってきちゃってポケットが深いまま再生されてしまわないよう、バリヤーの膜などを入れてやるという方法です。
あと、人工骨などを入れて骨の充填をする手術も始まりました。
人工骨は粒子状のものですが、これをポケットの中に埋め込んでいく。
そうすると歯周組織が補修されてくるわけです。
日本でも、これらの治療を行う病院が出てきました。
歯周病の治療後のケアとフォローアップ
治療が終了した後も、適切なケアとフォローアップが必要です。
定期的な獣医師の診察や歯磨きを続けることで、再発や進行を防ぎましょう。
また、獣医師の指示に従い、処方された薬を適切に使用することも重要です。
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